人間社会に合わせて生活をしている犬たち。人と犬との歴史は長いとはいえ、現代は犬にとって本来の犬らしい生活ができる暮らしとは決して言えません。
いまでは都会も地方もさほど変わらなくなったせいか同じ価格になりましたが、16年前にペット保険に加入しようとした際、都内に住む犬と田舎に住む犬とでは同じ犬種でも保険料が異なりました。それだけ都会暮らしの犬にはストレスのリスク(ストレスによって健康を損なうリスク)が大きいという保険会社のリサーチと判断だったのかもしれません。
飼い主は犬への愛情を根拠に、犬のストレスに対して自分自身や周囲の環境を批判的にみることがなかなかできなくなりがちですが、ストレスは自律神経(とくに交感神経)や内分泌系に刺激を与え、それらのバランスを崩すことで心と身体の健康に悪影響を及ぼします。要因と考えられることや心当たりがあれば速やかに取り除くように努めたいものです。
犬を理解する
「人間の立場」から独善的かつ自己陶酔的に犬をみるのではなく、犬の生理的欲求といった動物の行動学を知り、犬と接することが犬を理解し、ストレスを軽減することに繋がるのではないでしょうか。
動物行動学者の本には数字のデータやグラフは出てきません。動物に苦しみを与える動物実験を必要としません。行動学は愛情の学問です。必要なのは動物を観察し、正しくその行動を理解すること。
人と人とがそうであるように、犬との関係にも「すべての犬に」という方法はありません。マニュアルに頼らず、自分の目でみたことを信じ、正しく理解した上で、自分の犬のことは飼い主である自分がいちばんよくわかっていると、胸をはって言える飼い主でありたいです。そのために、これからも素直な気持ちでさまざまなことを学びたいと思っています。
犬との接し方
おともだちのいのりさんのBig Tree For Animalsの姉妹サイト、サンシャイン・アニマルズで、かわいいイラストでとてもわかりやすく紹介してくれているページがありましたのでご紹介しますね。
正しくない犬へのあいさつ(サンシャイン・スマイルにリンク)犬と暮らしていない方には当然多いことですが、犬と暮らしていたことがある方、犬と暮らしている方でも意外とやってしまっていることが多いです。
犬も人と同じで個々に性格があります。なにをされてもイヤな顔をせず我慢強く人間につきあってくれる犬もいますが、
そうでない犬や飼い主を非難したりマウントをとったりせず、正しい犬との接し方を知っていただけるといいな。
犬のボディーランゲージ(サンシャイン・スマイルにリンク)
ほかにもまだまだ、いっぱいあります、犬が姿勢、目、口、耳、毛、全身でわたしたちに話しかけてくれること!シッポを振っているからといってうれしいというわけじゃないというときも。
イヤ!やめて!というとき、人間は2本の腕で振り払うことができますが、犬は腕のかわりに吠えたり噛んだりすることで意思表示をするしかありません。でも、吠えたり噛んだりするまえに、必ずいやだな、やめてほしいなという意思表示をしているんですよ。
子供に教えたい犬への接し方(サンシャイン・スマイルにリンク)
「犬嫌いなの、子どもの時に噛まれたから」という話は犬が苦手な人からよく耳にします。人と犬、しあわせな共生のために、防げる事故は未然に防ぎたいですよね。お互いの違いを理解し受け入れて、たのしくのんびりしあわせに。大人にこそ知ってほしい犬との接し方。そしてお子さんも犬も安全にたのしくなかよくなれるように教えてあげて下さい。
犬はどんなことにストレスを感じるかの一例
※ストレスは情緒や精神、環境、栄養など多くの要因で生じ、また、要因がわからないものも多々あります
- 痛み、恐怖、不快
- 暴力、攻撃性を感じたとき
- 自分に対する脅威(人、他犬から)
- 飼い主の怒り、罰、興奮
- リードを過剰に引っ張られる(リードで引きずられる)
- 日常的なトレーニングとして飼い主からの過剰な要求
- 運動不足
- 空腹、喉の渇き
- 尿意を催したときにトイレに行けない
- 体調不良
- 騒音
- 寒さにさらされる
- 過剰な暑さ
- 急に怖い状況にさらされる
- 過剰な興奮
- リラックスできない状況・環境
- 急激な変化
など
ストレスがかかっているときの犬の行動の一例
- 落ち着きがない
- カーミングシグナルを多く使う(後日別記事に詳細載せます)
- 身体を掻く
- 自分の身体を噛む
- 成犬になっても家具、靴、その他を噛み、破壊する
- よく吠える、呻る
- 下痢
- 口や身体からの悪臭
- 緊張しこわばった筋肉
- ふけ
- 身体の震え
- 自分の手をひたすら舐める
- 自分のシッポを追いかける
- 不健康にみえる
- 動悸
- 集中力を失う、短い時間しか集中できない
- 食欲減退
- いつもより多くトイレに行く
- アレルギー
- 攻撃的な行動
- 分離不安
- 活動低下
など
平岩米吉著/犬を飼う知恵の中に、神経症として下記の例が記されていました。
不意の強烈な刺激や傷害で、犬は精神的に大きな衝撃を受けることがある。私の子犬は生後四ヶ月の時、初めて自転車に乗せて騒がしい都心に出て、約九Kmほどの距離を往復したところ、その夜から夜尿をするようになって困ったことがある。
家中を、いつも私について歩いていた犬を、都合で書斎にだけとじこめておいたところ、すっかり悲観した様子であったが、ついにひどい不眠症になってしまった。ちょっと眠っても、すぐ眼をあいて、寝返りをしたり位置をかえたりして、前肢や体を舐めている。こんなことが四日も続いたので、私の側におき、ブロバリンを朝夕一錠ずつ与えたら、だんだんに眠るようになった。
それから、解決できない問題を強制すると、やはり神経症におちいることがある。