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保護犬との暮らし

はやいものでラナがわが家の犬になってからまるまる2年経ちました。9歳のときにきたからいま11歳(今年の2月で11歳になりました)。でも、はじめましての日より若返っているような気さえします(*^-^)親ばかですいませんねー。

迎えたときにすこし気になっていたことがあるのですが、背骨をはさんだ左右ね、毛質が違うんですよ。背骨にそった真ん中あたりの毛はスムースチワワらしい毛がふっさとはえているんですが、左右の毛は細くてアンダーコートのみってかんじ。

写真だとわかりにくいですよね。禿げてるわけじゃないから遠目には気にならないんですけど、ほぼ左右対称なので、迎えてすぐの健診で甲状腺の検査もしました。結果は正常。

ポチンといぼみたいになっている箇所もあったので、それもちょっとサイズが変わったときに気になって病理に出しました。皮脂腺腫(良性腫瘍)でした。もしかしたら毛の薄いあたり、若い頃に脂漏性皮膚炎などがひどくなってしまったことがあって治ったあとかもしれません。秋冬春には起きませんが、梅雨から夏の終わりにかけて、確かにすこし色素沈着が出たりしますので(ベタつきやにおいはないんですけれど)今年の梅雨〜夏も要注意です。

心臓病は、2種類のお薬飲んでいますが、おかげさまでANP、BNPの値も下がり、なんの症状も出ておらず、毎日もりもり食べて歩いて元気に過ごしてます。

保護犬というのはこれまでどのくらい散歩していたのか、どんな病気をしてどんな治療をしていたのか、詳しいことはわからないですが、それでも、いっしょに生活しながらよく見ていると、本当にいろんなことを教えてくれるんですよね。生活習慣も罹患歴も。そうか、そうだったのね!ってパズルのピースがぴったりはまるような、ものすごく爽快な感覚を味わえる瞬間、わたしにとっても、たぶんラナにとっても、至福なときです。

ラナを連れているとき、保護犬だったことを声高に言うこともしませんが、隠しもしません。話の流れで「仔犬のときはどうでしたか」、「お散歩デビューのときはどうでしたか」みたいなことを聞かれたときに、元保護犬だったことを言うと

「そうなんですか!でもこんなきれいで可愛い子なら保護犬だっていいわよね!」

「年取ってからでもこんなに慣れるんならいいわね!」

と言われることが、けっこうあります。

いろいろ誤解もありそうだなーと、軽くもやっとするのですが、相手に悪気はまったくなさそうですし、すれ違いざま、可愛い犬を介してはじめましての人間同士の会話に、へんなテンションで口走っちゃっただけかもしれませんし、まぁ、本当はいろいろ伝えたい細かいこともあるのですが、そのあたりは言わずにスルーしちゃいます。けどブログには一応書いておこうかなと。

まず、「こんなきれいで可愛い子なら保護犬だっていいわよね!」について。

これ本当に多いんですよ。ほんっとに多い。

ちがいます。

きれいで可愛くなっていくんです。

保護されたあと、保護してくれた団体や個人、預かりボランティアの方、新しい飼い主の手のなかで、毛艶、体格、目に宿る光、歯や歯茎、幸せをまとうオーラが出てきてどんどんきれいで可愛くなっていくんです。

保護された当初から、ピカピカでツヤツヤで笑顔だったわけじゃない。散歩だって最初から上手にできたわけじゃない。トイレもそう。

でも別に、だからって保護犬出身のチコやラナとの暮らしがパウや黒のときと比べて大変だなーとかつらいなーとか、一切ないですよ、微塵もない。

だって、同じ犬ですからね。

何歳の時に来ようと、どこから迎えることになろうと同じことじゃないですか。逆に、何が違うの?とききたいです。ヨチヨチの仔犬のときに迎えたパウや黒だって、仔犬のときは食事の回数も多いし、トイレのしつけもしなくちゃいけないし、最初からお留守番が上手にできたわけじゃないし、散歩も問題なく自信たっぷりにまっすぐ歩けたわけじゃないし、病気にだってなります。遺伝性疾患だって、若いときに出るのか年をとってから出るのか、誰にもわかることじゃありません。

保護犬への問い合わせにあるあるであろう以下の質問

「健康ですか」「トイレのしつけは済んでいますか」「人なつこいですか」「攻撃性はありますか」「お散歩は上手にできますか」

これ、全部、ペットショップで買った犬であろうが、ブリーダーから迎えた犬であろうが、保護団体から迎えた犬であろうが、いつどこでどういう迎え方をした犬であっても生じ得ることであり、これらすべてはほかでもない”飼い主”が、責任をもって、迎えた犬とともに解決していくべきことです。

これから迎えようとしている犬の、現在の状態がどうなのか知りたいのは当然です。問い合わせること自体は何の問題もないと思います。わたしも問い合わせしたあと、とても丁寧に詳しく、包み隠さず、その時点でわかっていたいろいろな情報を教えていただきました。

迎えるにあたっての準備や住環境の工夫、獣医さん選びの参考に聞くというのならわかるんです。でも、「トイレ失敗しちゃうの?じゃあやーめた」っていうのは、ちょっと違うんじゃないかなー。預かりさんのほうこそ、せっかく幸せになるために保護した大切な命、そんな人には託せませんよ。

話は変わりますが、先日、ずっと犬と暮らしたかったけど年齢的にあきらめていた方が、娘さんとの同居をきっかけに「保護犬を引き取りたいと思っているんだけど」とおっしゃったときのことです。

50代の娘さんが「だめだめ、ちゃんとしたところ(ペットショップ)から買ったほうがいいよ」と言っていたので、「ちゃんとしたところ」で買った犬が、保健所につれ込まれ、保護団体から引き出されているんですよ。或いは、「ちゃんとしたところ」で売られている犬の母犬や父犬が、保護団体によって救助されているんですよ。と、口を挟ませてもらいました。

50代の娘さんは悪気があって言っていたわけではないんです。心の優しい、ごくふつうの女性です。ただ、日本で販売されているペットの事情や、遺棄されたどうぶつたちの状況を「知らない」だけなんです。

大切なのはどこから犬を迎えたかではなく、どうやって犬と向き合い暮らしてきたかということです。「命に責任を持つ」ことを覚悟して犬との暮らしを決めたのであれば、保護犬に対しての偏見や不安は全く不要なものです。

つぎに、「年取ってからでもこんなに慣れるんならいいわね!」

なにいってるんですか!慣れますよ!あたりまえじゃないですか!

信頼関係を築くのに、迎える年齢は関係ないです。平岩米吉先生が犬の学習能力について著書でおっしゃっていますが、

言葉のわかり方は、犬の知能や環境によって非常な相違ができる。いい加減に放置されている犬と、常に家人の身近にいて深く愛され、その生活にとけこんでいる犬との間には、無学なものと学者ほどの隔たりができてしまう。

たとえば

「犬を飼っていたけど8年間散歩もろくにせず殆ど放置していました。病気になったので捨てました」という飼い主がいたとします。

保健所に連れて行かれて、保護団体に引き出された。

新しい飼い主が見つかった。

新しい飼い主は焦らずに、穏やかに、優しく、毎日犬に話しかけ、褒め、自信をもたせ、体調や体格に見合った食事を出し、病気の治療もし、適切な運動をさせたとします。

数週間から数ヶ月で8年もいっしょにいた飼い主が決して見ることができなかった犬の豊かな表情を、新しい飼い主は見ることが出来ますよ。心と心が触れあうよろこびも。

長くなりましたが、さいごに。

わが家のラナを保護してくださったWonderful Dogsさん。
ラナの一時預かりのときも、わが子同様、飼い主が見つかるまで愛情たっぷり手厚いケアをしてくださったこちらの預かりボランティア様のブログには、ラナの可愛い後輩たちが続々と、すてきな家族に巡りあう日を待っております。

みんな本当に可愛いこたちです。預かりボランティア様のもとで、既に「こんなきれいで可愛い子なら保護犬だっていいわよね!」状態の活き活きした表情に変化してきておりますが、いちにちもはやく、ずっとの家族といっしょに天井しらずなキラッキラツヤッツヤMAXな日々となりますように、応援したいとおもいます。

明日(2017/04/01)は巣鴨のリフレックスさんでWonderful Dogsの譲渡会が開催ですよー!

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このブログは愛犬との暮らしのなかでいち飼い主として
学んだこと
考えたこと
できること
を、備忘録兼ねてはじめたサイトです(1999年当時に自身のウェブサイトで書いたものをそのままアップしたものもあり、情報が古いものも混ざっています)

2013年2月に立ち上げたFacebookグループ
【シニア犬】高齢犬LOVE【老犬】
について、すこしお話させてください。

高齢になれば人も犬も同じで、若い頃には難なく出来ていたことができなくなったり、健康も日替わり、昨日は元気いっぱいだったのに今日は食欲が落ちてしまったり、認知症がすすんだり、さまざまです。

かかりつけの獣医さんから提案された治療が、医療セオリー的には100%正しいことでも自身と愛犬にとってそれが本当に最良の選択なのか、不安に思う飼い主さんも多いでしょう。家族間でも愛犬のケアやトレーニング方法、治療方針に温度差があり、孤独感や不安を感じる人もいることでしょう。

共感できる人が集まり励ましあえるコミュニティの存在は、わたし自身、何度も心が救われる場でありました。

「犬は共感力の強いいきものなので、飼い主が不安な顔をしていたらダメだよ」
など言われ不安に押しつぶされてしまいそうな中、追い詰められてしまう人もいることと思いますが、

わたしやあなたがどういう人間であろうと、全てを受け入れて全幅の信頼をもって愛してくれる、かけがえのない愛犬を失うかもしれないという時に不安やグリーフ(悲嘆)は当然の感情です。

ありのままの気持ちを否定することなく、生きているあいだにできるだけ多くの幸福感と喜びを人と犬が共有し、

犬との暮らしは本当に素晴らしい、美しい、楽しい、自分の成長につながった、という経験をもってお別れを経たあと、次の命に勇気をもってバトンタッチできるよう、心のケアのお手伝いができたらいいな、と自身が管理するグループのメンバーさんたちを見ながら考えるようになりました。わたし自身が、とても救われたからです。

グリーフは終末期やペットロスのときに限って生じるものではありません。
(グリーフケア=ペットロスケアではありません)

そして、さらに言えば、グリーフは人だけでなく犬にも起こるものです。グリーフケアは犬にも人にも必要なケアです。

愛犬が元気に生きている時にグリーフを知り、理解し、笑顔が絶えない犬との暮らしをつくり、いずれ訪れる死に向き合える心のパワーを育てる。 生前のグリーフケアは、ペットロスのケアに繋がる大切なケアというだけでなく、犬と暮らす人達がいたわりあい、励まし合い、セキュアベースの輪を広げていくことにつながります。

愛犬と飼い主が共に幸せになるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)、QOD(クオリティ・オブ・デス)の向上のためのマインドセットの発信をこのブログと、それから、他の形で考えています(2023年現在準備中です。おたのしみに!)

Contigo ViVA LA ViDA!
いっしょに人生&犬生バンザイ!

MIKA HIGUCHI

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